薬の副作用・アスピリン(バッファリン)

 薬の副作用については皆さんうすうす感じておられると思いますが、一般に理解するのは大変なことです。とりあえず、薬がその効果を発現するためのメカニズムは、同時に副作用を発現させることにも働くことをわかって頂きたいと思います。

 例えば、誰でも知っているアスピリンはすぐれた鎮痛作用と抗炎症作用を示すことで長い間使われていますが、空腹時に服用すれば胃腸障害をおこすことも知られています。

 ひどい時には潰瘍を誘発することもあります。

 これは、アスピリン以外の多くの消炎鎮痛薬にも共通したことですが、炎症作用のメカニズムが体内でのプロスタグランジン(局所ホルモン)の生成によっていることが大きな理由です。

 プロスタグランジンは、私たちの体内で細胞膜、リン脂質中に含まれる不飽和脂肪酸アラキドン酸から、シクロオキシゲンをはじめとする色々な酵素の働きを受けてつくられ、炎症を生じる原因物質となるほかに様々な作用性をもっています。

 血管を拡張させて血圧を下げたり、血小板凝集を抑制したり、胃酸の分泌を抑えて胃壁の粘膜を保護したり、腸管運動の亢進、気管支の収縮作用を促します。

 アスピリンは体内でシクロオキシゲンの働きを阻害することによって、この多彩で重要な作用をもつプロスタグランジンの生成を止めてしまうのです。

 そして、一方では炎症を抑えると同時に、もう一方では胃粘膜の保護作用をも抑えてしまうのです。

 つまり、アスピリンによる抗炎症作用と潰瘍誘発作用はまったく同じメカニズムによっているので、そのどちらかだけの作用をなくすことはできないのです。
ワンポイントアドバイス

 アスピリンに限ってはあまり感心できたことではありませんが、空腹時に服用しないとか、あらかじめ牛乳などを飲んで胃壁を保護するとかの処置によって、副作用を防ぐ方法があります。

 しかし、あくまでも薬はくすりです。反対から読めばリスクです。

 それよりも、普段の生活の中でいかにして炎症作用のある物質を遠ざけるかが基本になります。

 炒め物や揚げ物に使うリノール酸、肉に多いアラキドン酸は炎症作用に働く油です。

 その他に、背の青い魚や、もち米あるいはもち米の使ってあるお菓子は炎症作用のある物質を多く含んでいます。

 この炎症作用物質を食事からはずすことでかなり痛みが変わってきます。

 薬はどんな薬でも薬効を発現するために働くメカニズムと同じところに、かならず副作用があります。

 その他に薬のカプセルが食道の粘膜に付着して溶け、内容物が食道壁に高濃度に作用して潰瘍を生じたというような、思わぬ副作用もあります。